(この宇宙で)ゴミ箱を漁るのはぼくだけではない
鉄の海に囲まれたこの島で 漁は盛んではない
人々が漁るのはゴミ箱で ハエに溢れた田舎でもここは完全なる都市だ
だめなのはだめというやつで その光の像を結びだす鏡は
その裏側である海の向こう、つまり君の外側、つまり闇にしかない
ー 数知れないほど偶像彫刻化している詩人はこう詠む
ぼくの祖国はふたつある
キューバと闇夜がぼくの祖国だ
ハバナの人々は言うだろう。「政治、社会主義、そんな安いものを掴まされる偽善者ではない。われわれは観光者だ。」(言わない。)
だからぼくらは当然分かり合えない
いや しまった そもそもそれは人間の本質であったはずだった
それでいいんだ といいきかせる
Close your eyes, take a deep breath, listen acousmatic レゲトン sounds and Meditate....
みずからの外に出ることで 自分が真に存在することを知るのが人間だとすると
ぼくは差別されることさえ許されていないこの人人と
分かり合うことはできない
分かり合えない人が隣り合うことは分かり合えないことのゼロであり、完全なかたちであり、戦慄な表層の現れとなる
ぼくのこの仕事を肯定することは宇宙にエゴがあり得ることを肯定する唯一の証で、ぼくがはじめから、そしていま、完全であることの唯一の証でもある
天地は花なり、神仏は花なり、人の心は花の心なり
ひとにつくられた天地、そして神仏、表 現 でつくられた地平の上
それはなにか使えるものがないかとゴミ箱を漁ること
この宇宙でゴミ箱を漁るのはぼくだけではない
シャンパーニュのアンニュイな詩人の言った
「何事も起こらなかったあの時間」を 宇宙的時間を
映し出す鏡。
「何事も起こらない時間」のなかでは、すべてが美しい
ぼくはともにゴミ箱を漁る鏡
ぼくは自信を持っていい。
ぼくがすでに見ることはなくとも、きみには見えなくとも、見るひとはいて、それがぼくの仕事で、それが宇宙でエゴが肯定される唯一の理由ともう一度言う。