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【Review】Mexico to Noise


毎度のごとく何の批評でもありませんが、個人的な感想を綴ります。 尾崎伸行氏の衝撃の登場、そしてエキゾチシズム=ハーシュノイズに何を思うのか。

異界または宇宙、その信仰と古代からのことばの必然である類推、

これだけ神妙なコトバが並べば恐れおののき警戒するだろう。でも、

「それが人間の学問だと。そんなに迷信深くならなくてもいい。これは科学なんだよと。」

そう、シェークスピアや南方熊楠がいったのかは知らない。

表現とはなにか? ○○とはなにか? という問いの立て方は、プラトン以来のイデアという最終裁判官による裁判所に立たされることである。

可能な問いは、なぜ表現するか? なぜ○○?

ありがちなノイズミュージックの哲学的問いに答える文の主語は、決して機械ではなく、いつも人間であるべきだ。人間の中に統合しえる主客体および消滅しえる自我があるのであって、外にそれがあるわけではない。外にあるのは創造においては偶然、受容においてはコントラストである。人間は、ともかく、自分が何をしているのかをしっかり探求して行動すべきである。ルサンチマンを言っているその人はそのルサンチマン自体に囚われて行動していることに驚くほど無意識で、そういうやつらとは少なくともこちらからは関わりたくない。

ジョン・C・リリー博士をご存知だろうか?

尾崎さんとの会話の中でその名が出て、長い間その機能を失っていたKITTYの奥に居た昔の雑誌たちが機能しだした。

ジョン・C・リリー博士はイルカの脳の研究者として、イルカという異種動物とのコミュニケーションを目指した人物である。また、その研究過程において、カプセルタンクの中に浴槽のように張られた身体と同濃度の液体の上に身体を浮遊させることで、身体の意識を喪失させ宇宙空間に投機されたが如く精神のみの働く状況を生み出す装置=「アイソレーションタンク」を発明したことでも知られる。現在の日本にも数台あるそうだが、その使用においてリリー博士本人はLSDを服用することを公言していたことがスキャンダラスな印象を与えもしたが、90年前後に日本でも遅れてそれとなく受け容れられていたNEW AGE思想において、TVやイベント等の企画で来日するなど、影響力のある立場で受け容れられていた。

余談だが、NEW AGE思想を調べていていろいろ知らなかったことを知ることが出来た。

NEW AGEとは、元々はキリスト教の千年思想から来るもので、神と悪魔の戦いが千年続き、最後に神が勝利して、NEW AGE=新しい世界がやってくるというものだそうだ。基本的には、伝統的な教えの中から、古くて役に立たない教えを廃し、真の意味での教えを明らかにしようという運動ということ。

そして、NEW AGE思想自体はアメリカ西海岸において1970年代後半から80年代にかけて盛り上がり、その後商業化・ファッション化されることによって一般社会に浸透したもので、人間の可能性を復興する副産物ルネッサンスのような運動だったものからその商業ベースに乗り消費され続けているものまである。

日本では、少し遅れた90年前後に基本的に形骸化した商業ベースやってきたが、中にはスピリチュアルな思想的なものを求める求道的な人や創造的な人々がいて、そう遠くない2000年=ミレニアムへの意識、ノストラダムスのような終末思想らと結びつき様々な研究や、本や雑誌までもが出版されるに至った。

思想的には心霊主義(スピリチュアリズム)とシュタイナーなどの神智学を源流とし、ユングの思想、東洋・「異教」(キリスト教以前のヨーロッパ多神教)・南北アメリカの先住民の文化などから引用した要素や自己実現、自己啓発の思想を織り込み発展した。

その裾野部分では、ニューエイジは現代の行き過ぎた消費文明や経済的効率主義に対して警鐘を鳴らし、これを中和しようとするようなオールタナティヴな社会思潮として機能する可能性を期待されている。しかしその一方で、しばしば、その信奉者の理性的・論理的・科学的な思考力を鈍化させて批判力を鈍らせ、また極端な場合には、破壊的カルトやオカルト商法といった反社会的な形をとって立ち現れる。そのようなわけで、ニューエイジの功罪について、明快な評価を下すことは容易ではない。

ニューエイジ的な価値観を信奉する人のことをニューエイジャーという。

WIKIPEDHIAより

古来の異界意識から宇宙意識、ユングの集合意識や人智学シュタイナーなどの発想力を得て時の宇宙開発ともあいまってその想像力は現実化しようとした。

なんにしろラディカルなものはその構造から、NEW AGE思想と安易に結びつきやすい。

リリー博士は、イルカは200万年以上生きた記憶を有し、人間より脳の容量が大きいことを理由として生物的に人間に優るのではないかという自らの直感に基づく説を唱えるように見受けられ、科学者であるより、その研究の副産物に傾倒したカルト思想家的な発言が多くなり、そのような扱いを受けるようになり ”NEW AGEな人” となった。

日本では95年のオウム真理教の事件において、NEW AGEの一部のものは安易に悪とされ、穢れ、そして臭い物に蓋をするかのように、禊に逢うことになり断絶してしまった。もちろん、UFO、新興宗教、ヨガ、臨死体験、超能力、波動、精神世界を語る非科学的なるもの(この中にイルカも極めてマイナーに入っていると言ってよいだろう)に対する一定の排除意識が5年くらいは働いたのではないだろうか。一方ではNEW AGEのひとつの要素である癒しがもてはやされたりしたのは一概にそのすべてが拒絶されたのではないことを物語るように思う。

NEW AGE思想を宙吊りにする。

NEW AGEは確かに反社会的なものに結びつく傾向があるし、事実そうあった。

思想自身が消費社会に警鐘を鳴らしつつも、貨幣経済を用いて自分たちだけがお金を稼ぐシステムを作り上げてしまうマインドビジネスや癒し・自己実現を語った宣教的な性質を持つものなどの例を挙げるまでもないだろう。

アイソレーションタンクについても、そのあまりの創造性にわれわれは慄いてしまう。いわゆる修行をしなくても楽園(天空、宇宙)にいくことができるというのは、ボードレールの人工楽園におけるハシシや鴉片のようなものかもしれない。NEW AGEの証言者たちである宇宙飛行士・臨死体験者・登山家・潜水士・超能力者・幽体離脱者などと部分的には同じ状態を経験できるがそれを一時的に体験することに人は価値を見出しえるのだろうかということにおいても賛否は分かれるだろう。

ちなみに、日本人には馴染みが悪いシーシェパードは、リリーの思想が系譜的に関係していると一部で言われており、それであれば鯨・イルカが人間より優れた生き物で他の家畜・馬とは違うという思想信条として納得できなくもない。

しかし、リリーの思想、実績はたとえ本当にカルト的なものであったとしても机上の論ではない直感によるものという評価を得ても良いのではないだろうか。

リリーのほかにもアポロの作業員で、人類で初めて宇宙船の外に出たラッセル・シュワイカートもガイア理論を発展させたガイア思想的な発言をしている。地球は生命体で、人類はその生命体の一部で宇宙に出ることは、母体である地球が新たな生命を宇宙に送り出しているというものである。この発想は、地球外から地球を見たもののする発想で、こういった発想が生まれること自体は少なくとも「私」ではなく「我々」の踏み出した一歩ではないかと思う。

少なくとも、彼らが文学的イメージを受容したり(再?)提供したことは芸術的に詩的に受容されるべきだと思う。

最後に、先日亡くなった安藤昇氏のNEW AGEとはまったく逆のある意味ではNEW AGEな思想に、やくざの思想がある。そのことばを記念に記しておく。

死んだら終わり、もっといい加減に考えればいいんだよ。

果報は寝たフリをして待て。

寝ていてもダメだし、追いかけてもダメ。

寝たフリが大事なんだ。

どうしてかって?

一番楽だからに決まってんだろ!

俺の言葉が契約書

約束を守るか守らないかではなく、約束をする覚悟が必要だ。

ハーシュノイズ

閑けさや 岩にしみ入る 蝉の声

芭蕉

明らかに轟音の現実の風景に対して、しずけさと詠むそのことば、または心の生み出す異界、天空または宇宙を想像してみて欲しい。

もっと綿密に、繊細に、時間体験による異界のパラレルな静けさをもたらす方法論はもはや音楽の方法論を根源性をもって超越する。

彼女はなぜ日本のハーシュノイズを愛するのか。

スイスに帰るまでに話を聞ける機会がありそうだ。

<MEXICO(Chiapas) と ノイズ> Mexico to Noise 12/20 日曜日 SUNDAY 20 Dec / 7pm Open LIVE:・Púrpura (Andrea Nucamendi)    ・尾崎伸行     ・tbt S OPEN CHARGE(投げ銭) + 1DRINK ORDER 今回の○○とノイズシリーズは、Mexico、チアパス出身でスイスのベルンで活動する女性ノイジャンのPúrpura (Andrea Nucamendi女史)と、岡山出身の尾崎伸行氏をお迎えします。


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