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【Review】池田慎 と ノイズ 11/14


▼角矢胡桃

ナニワ生まれのシンセメーカーREONのシンセサイザーとエフェクターによるImprovisationを生でしか体験不可能な刹那的な作品と位置づける彼女。即興の録音はしないという一貫性のある思考を伴った活動を行ってきているという。

個人的には、空族の富田監督が決してデジタル化せず劇場での上映しかしないという事実や、Eric Dolphyの百年の孤独のボトルのラベルの片隅にも記されている When you hear music , after it's over , it's gonein the air.You can never capture it again.『あなたが今、耳にした音楽は空中に消えて、再びそれを聞くことはできない。』という言葉を思い出した。

Performanceは、音を突き放して聴きながら神経を集中し変化をさせていく主体があり、その機材の特性を知るという行為の流れがありつつもその空間と自分自身の在り方に意識を集中させていくような体験であった。

そこにはまず、行為の生み出す変化の先にある音、さらに空間認識のイメージ、その中に自己があり、そのすべての状態の持続や、それによるさまざまな何かへの興味の深さによって影響を受ける自分の状態などを観察し、それらにコントラストをつけて変化を生み出す行為に集中する内的な即興性の高いものである。

興味の距離の先端のさまざまな何かとは、音の認識による幾何学性や色彩かもしれないし、本人の性質と本人のその時々の環境によるものであったりするのだろう。

(しかし、あるArtistはそのイメージは空洞だという)

彼女の在り方は音に奉仕するというよりも、いまここにいる自分としての体験に奉仕するものであるように思った。つまり、それは体験の成すものである他者性そのものに行為を譲る様であり、また、それによって行為を他者性以外のなにものにも譲ろうとしない姿はかくも美しいものだ。

バンド形態ではベースをPlayするという彼女。そういった意味でも、根底に添えられていく音、そしてそれを行為する自分を観察するような態度が印象に残った。

即興ではない録音作品はまったく違うことをしたいという。これは楽しみだ。

また、付き合い続けたいArtistに出会ってしまった。

▼どちんぷん

DidgeridooやカセットMTR、自作楽器、声そして映像とその音など、主体自身の身体を含めた容易にコントロールできないくらい量のしかしあらかじめ様々な意図を持って用意されたものを抱えた過剰性そのものを、そのまま受け入れようとするような空間体験を生み出した。意外なことに、そこにいる皆が演者たちと同じように受け入れる主体性を持たされていることに演者本人は気が付かないものであるが、終了後に楽器の説明や話をしてそれを和解しているような態度に妙な好感をもったのはそのせいなのかもしれない。

▼tbt S(Akihiro Kasemura)

前々日(?)に購入したギターにての演奏ということ。彼なりの新たな地平を開拓しようとする行為に見受けられたが、本人曰くは、日常の中で多く行ってきた奏法ということ。しかし、Live Performanceの空間として体験されるのは始めてであったであろうものを体験させてくれた。

残響音とタイムラグの織り成す、音の立ち上がりという意味のATTACKのCUTと放射性という意味のRELEASEを思わせる音認識の空間体験から始まる、創造主体であるtbt Sの忘我的な音への奉仕。

それは、イーオン時間(発生時間)という単語を思い起こすような体験。認識と共に発生していく言葉未満の音が、時間が発生するのように感じさせ、その発生への興味自体の時間的距離や幾何学的な音認識が空間的体験に距離の深みを付加するように感じた。さまざまなものや人(今回は池田慎)との偶然の出会いを、同時性すなわち縁と解させるような創作を続けていく十分な期待を抱かせる体験であった。

次回は11/25 水曜日セグンドとノイズ、キャットニャンダフルフォーク部を迎えてのLive、そして12/5は、こかとノイズ Blues Rock弾き語りの こかさん と Black Root(s)でおなじみの長谷川夕記さんです。

是非お付き合いください。

<池田慎 と ノイズ> Ikeda Shin to noise 11/14  土曜日 SATURDAY 14 Nov / 7pm Open LIVE:・どちんぷん (Noise)    ・角矢胡桃(Noise)     ・ tbt S (Noise) OPEN CHARGE(投げ銭) + 1DRINK ORDER 今回の○○とノイズシリーズは、2kw GALLERYとBar Kittyの同時開催でおこなわれる11月の池田慎の展示に出展されるであろう?エフェクターを使用した作品を使用したパフォーマンスです。うまくいくかからですが、お楽しみに ▼池田慎 芸術家。 刺繍や手芸を用いた仕事で知られるが、Craft Activismよりは軽やかに、概念に頼らずユーモラスに創造主体を溶解しつつ昇華する創作をつづけている。 個展・グループ展のほか、Art OsakaなどのArt fareにも参加 http://artosaka.jp/en/contents/artwork/a-6311_03/ ▼どちんぷん 2009年大阪芸術大学にて結成されたサウンドパフォーマンス集団「ゴチャキッズ」を前身としたじゅう 元気 と 高橋 ドエス からなる東大阪市在住、工場発信によるノイズユニット。 ピエゾ素子を中心とした工作物を駆使し、インダストリアルノイズ宴騒活動をしている。 2013 どちんぷん  https://soundcloud.com/genki/act3 2014   ドエス (ソロ) https://www.youtube.com/watch?v=QfxQDezik1I 2015 ぽんどち (Rapper Tiger・Pon参加)https://soundcloud.com/doesu-takahashi/pone-dochi-short-ver ▼角矢胡桃 ハワイアン&ディスティニーのハワイアンの方こと、角矢胡桃のソロプロジェクト。2014年から活動を始め、シンセサイザーやエレキベースを使い即興演奏を展開する。ポップでキュートなバチバチサウンドをお楽しみ下さい! http://milkkado.tumblr.com/ Twitter (@milkkado) Facebook ( https://www.facebook.com/milkkado ) ▼tbt S(Akihiro Kasemura) https://soundcloud.com/tbt-s 新しい世代のノイズ音楽を担うノイジャン。 ギター一本、エフェクター多数で紡ぎ出す音世界。 ギターヒーローのパフォーマンスのように音に主体性を譲りその主体を消滅させながらなお音響の世界を構築する。・・・が、ここ最近のパフォーマンスでは、意欲的に異なるアプローチに挑戦しつつ深化を続けているアーティスト。 大阪の難波ベアーズやBAR KITTYにてライブ活動中。


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